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現役診療看護師(NP)の声

診療看護師(NP)たちが各自の組織でどのようにして「診療看護師(NP)」として理解してもらっているか、「診療看護師(NP)」の役割がどのようになっているかなど、各地の診療看護師(NP)を現役の診療看護師(NP)がインタビューします。

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特定医療法人 社団春日会 黒木記念病院
看護部 教育師長
診療看護師(NP)
所属:取材時のものです
原 光明(ハラ ミツアキ)

診療看護師(NP)になるまでのキャリアについて教えてください。

出逢いから見つけた看護の理想形

はい。今の勤務している病院は、約200床主に回復期リハビリテーションなどを行うような病院です。現在は看護師歴としては11年目、診療看護師(NP)としての経験は5年目になります。最初に診療看護師(NP)を目指したきっかけっていうところなんですけども、元々私は、看護専門学校を卒業し、今所属している施設で活動を始めて、3年目の時にこれからのキャリアをどうしていこうか考えていた時期がありました。その時に違う組織に異動した方かいいのかなとか考えていた時期があったんですけど、その時にまず異動するにしても最終学歴が専門学校卒だったので、学士の資格が必要なんじゃないかと思い、通信の大学に通いながら看護に関連する様々な資格を取得したりしていました。
その過程でとある人(先輩看護師)との“出会い”があり、その方から「うちに診療看護師(NP)がいるから、一度会ってみないか」とお誘い頂き、診療看護師(NP)の方と出会うことができました。実際に活動されている診療看護師(NP)の方から実践の様子などお話を聞いた時に、“看護師としてのプライド”や”覚悟”、そして”患者さんたちに向き合う姿勢”っていうのが、僕が求めている看護の理想だったので、僕も診療看護師(NP)になって、患者さんたちに責任をもって関わっていきたい!と思うようになり、診療看護師(NP)を目指すことになりました。

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診療看護師(NP)になってからのキャリアについてはどうですか?

その後の学習過程を経て、無事に診療看護師(NP)になって1年目を迎えることができました。1年目の頃は、主に実践力の向上を図ることを目的に所属施設内で臨床研修を行いました。2年目以降は、これから診療看護師(NP)として、どのように活動していこうか考えるようになり、組織や医療チームのメンバーと共に組織分析をして課題を抽出しながら動の目的を探求しました。その過程で、主に移行期ケアに取り組んでみたいと思うようになり、移行期ケアの一環として入退院支援を行うためにまずはその“システム作り”から取りかかることにしました。入退院支援システム作りと実践を経験しつつ、3年目は看護部内の教育師長という役割を頂いたので、教育師長としての役割も意識しながら、看護部という組織の質を向上させるために、看護部教育を積極的に取り組みました。

5年のキャリアの中で、臨床研修という形で学びを深め、その学びを活かし、組織分析によって課題を見つけ取り組まれる姿勢、さらにその課題の本質を捉え教育的に医療チームと共に歩まれるキャリアは、原さんらしさが出ていると感じましたが、いかがでしょうか?

『看護の質とは?』を問い続け、向上させていく

そうですね。まず退院支援の部分においてでは、やはり患者さんたちを地域に繋ぐというケアを展開していく上で、やはり本質的に看護ケアの課題もあるんではないのかなというふうに思い、うまくいかない事例などを医療チームで分析し看護ケアの課題をみんなで考えるようになりました。なので、私の個人の力量でどうかするというよりかは、システムとして、医療チームとしてどういうふうにその課題を解決できるのかっていうことを意識しながら取り組んでいたと思います。
看護部教育に関しては、今までは自分自身の成長に主眼を置き取り組んでいましたが。改めて、看護の質っていうとこを考えた時にそもそも『看護の質とは何か?』を自分に問いかけました。さらにその質を向上させるために、今どういうところが良いところがあって、どのようなところが課題なのかなどを考え、そしてそれをより一つでも多く向上させていくために、どのような取り組みを行っていくのかっていうことを考えるようになりました。看護師長というキャリアを頂いたことは、とても良いきっかけになったと振り返っています。

組織の管理者や、共に活動するスタッフの方々からはどういった声がありますか?

管理者の方々に関しては、私が診療看護師(NP)として活動を始めた当初は、診療看護師(NP)に関して、まだ十分に認知されていない時でしたので、まずはそれをお伝えしていくところから始めました。まず『どういうことができる職種なのか』、そして、『どういうことに取り組んでいきたいのか』っていうことをお伝えして、その中でたくさんのお話させていただく機会があり、その中で『私の看護師としての価値観』を管理者の方々と共有させて頂きました。その中で、管理者の方々からも、私の主張に対してどういうことが支援でき、どういうことが応援できないというようなことを色々とお話させて頂くことができました。このような経験を通じて、双方の価値観の共有ができ、管理者の方々にも少しずつ私のことや診療看護師(NP)のことを理解して頂けたのかなというふうに振り返っています。管理者の方々とコミュニケーションを積極的に取らせていただくことで、やはりいろんな取り組みのときに応援していただくことが増え、よりみんなで進めたいことを管理者の方々と一緒に取り組むことができたのではないかと思いますし、診療看護師(NP)として、その組織で定着させていくためには、間違いなく管理者の方々、先輩の方々の協力が必要だと思います。

実際に管理者の方々は良き支援者になっていただいたということですね。コミュニケーションのシチュエーションとして、会議などの堅苦しいところではなかなか思いを伝えることはできないですよね。日常の対話の中で、このような思いを伝えるなど意識されましたか?

はい、なるべく会議室など堅苦しい場所ではないところで、コミュニケーションをとることから始めることは、重要かなと思いました。ついつい、診療看護師(NP)として、新しいことをやっていかなければならないとか考えすぎたり、その組織に初めて仲間に入る診療看護師(NP)だったりした場合は、特に自分のことを知ってもらわなければいけないとか、何かを伝えていかなければいけないっていう思いがどうしても先行しがちにはなるんですけど、やはりそこに関しても、相手のことを知って、そしてその上で私たち診療看護師(NP)のことをお伝えしていくという、プロセスはとても重要なのかなと思います。

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スタッフからの声はどうですか?

管理者の方々の協力のもと、診療看護師(NP)を浸透

スタッフの声に関しても、当初は何をする人なのかというのが、よくわからないっていうのが、現状だったと思います。しかし、先ほどの話しにあったように管理者の方々の協力のお陰で、スタッフの方々にも徐々に診療看護師(NP)の活動が浸透していったように思います。実際に働いていくとやはり診療看護師(NP)がいると助かるという声や、診療看護師(NP)にこういうことを聞いてみたいっていうふうにお声掛けいただく機会も徐々に増え、実際の数値では示すことができないのですが、院内のPHSの着信数も1年目の時と比較すると2年目、3年目と経験を積めば積むほど、たくさんのお電話を頂けるようになってきたと感じます。そのことに関しては、もしかすると自分も医療チームの一員として少しでも役に立てているのかなというふうに思えたりもします。

ベテランの看護スタッフもいれば、若手の看護スタッフもいると思います。おそらくですが、それぞれ診療看護師(NP)である原さんに求めてくる意図はちょっと違ったりするんじゃないかな、とおもうのです。そのような感覚を抱いたことはありますか?

そうですね、同じ看護師であっても年代や経験によって、診療看護師(NP)である私に対して、違う角度からの質問や相談を頂くことというのはよくあります。その中で心掛けていることは、なるべく私の答えだけではなく、まずは相談して頂いた方の考えや思いを確認して相談に応じるようにしています。

同じ看護師であっても年代や経験によって、診療看護師(NP)である私に対して、違う角度からの質問や相談を頂くことというのはよくあります。その中で心掛けていることは、なるべく私の答えだけではなく、まずは相談して頂いた方の考えや思いを確認して相談に応じるようにしています。

相談頂く相手をリスペクトした上で、コミュニケーションを取られているのですね。それは診療看護師(NP)にとって必要なコミュニケーションのテクニックですね。よく理解できました。

組織や地域で診療看護師(NP)を定着するために活動する上でポイントを3ポイントほどでまとめて教えて下さい。

組織への貢献、メンバーとのコミュニケーション、自分自身がわくわくするのか。

まず1つ目は、「組織への貢献」です。
組織の貢献に関しては、まずはその組織を自分なりで良いので、しっかりと分析することが重要と考えています。それは組織の強みだったり、弱みだったりを捉えて、その組織には必ず目標や目的があるので、自分自身が診療看護師(NP)として、その組織にどのように貢献できるのか、そのために今、どういう取り組みが必要なのかを考え、行動することがポイントだと思います。

2つ目は、「医療チームのメンバーとのコミュニケーションを意識する」です。
これは管理者やスタッフに言えることですが、コミュニケーションをとりながら、相手に対して思いやりを持って関わっていくっていうことが、組織において、役割を定着させていくためのポイントの一つだと思います。
先ほども言ったように、どうしても診療看護師(NP)は、自分のやりたいことを伝えてたり、自分の思いということが先行しがちな時期があると思いますが、その中でも相手の思いを確認しながら、そして相手がどういうことに困っていることなのかなどを確認して、それを解決するために、診療看護師(NP)としてどのように関わっていくことができるのかなどを考えていくと、定着への糸口になるんじゃないのかと思います。また、少しでも医療チームメンバーとコミュニケーションをする時間を作っていくということは、組織定着のためにはとても重要なことかなと思います。

そして、3つ目ですが組織定着というと、どうしても周りのことに意識は行きがちにはなるのですが、とても大事なこととしては、「自分自身がどういうことをやっていきたいのか、そして自分自身がそこに対して楽しいのか、わくわくするのか」っていうポイントはとても重要だと思います。
そのためには、「結果(臨床での貢献)を評価し示していかなければならない」と思っています。役割を理解してもらうためには、やはり臨床での貢献の成果(結果)を示していくっていうところが求められていきますので、その結果っていうこと意識し、組織からの信頼に繋げていく、そしてさらい成長していくと、おそらく自分が楽しく、仕事に取り組めるのではないかなと思います。自分自身がそういう価値基準をしっかり持ち、取り組んでいくと、組織定着に向け、良い方向に向かうのではないかと思います。

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ありがとうございます。原さんの今までのキャリアとかですね、そういった話の中から出てきたエッセンスが、最後の三つのポイントに非常に絡み合い、読者にとってもとても参考になると感じました。ちょっと感動しました。

では、最後に今後の活動のビジョンであったり、取り組みたいこととかございますか。

そうですね。今までは、目の前の患者さんに、どのようにより良いケアを届けていくのかっていうところを主眼に置いて、診療看護師(NP)にチャレンジして徐々に目の前の患者さんから医療チーム、組織、地域への貢献と徐々に対象の領域が広がってきたように思います。その中でこれから取り組んでみたいこととしては、地域の住んでいる住民の方や利用者さん患者さん、その家族にも、この診療看護師(NP)として経験させて頂いたことを今度は、自分自身が届けていきたいなと考えています。

ありがとうございます。診療看護師(NP)としての良き経験が、少しずつ診療看護師(NP)としての自信となり、さらにその役割が広がり、活動するフィールドも変わっていくのですね。今後のご活躍も楽しみにしています。

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聞き手 : 日本NP学会 広報委員長
 本田和也