TOP日本NP学会誌日本NP学会誌 Vol.8 No.1(2024年5月)

日本NP学会誌ISSN 2432-0218

日本NP学会誌 Vol.8 No.1(2024年5月)

論文タイトル

「診療看護師(NP)制度の公的資格化に向けて」 -米国の取組の成果を参考に- “Towards official qualification of the nurse Practitioner system: Referring to US Initiatives”  山田清志郎

内容

【緒言】
近年,医療や介護の需要増加に伴い,医師の負担が大きい現状がある.公的資格がある米国Nurse Practitionerが医師の負担軽減に関与していることから,日本における診療看護師(NP)の公的資格化の参考となる米国の取組と成果について検討する.
【目的】
日本における診療看護師(NP)の公的資格化等に向けた取組の一助となることを本研究の目的とする.
【対象と方法】
PubMed, CiNii Research等を活用し文献研究を行った.検索条件は,CiNii Research「診療看護師」,PubMed「Nurse practitioner」「achievements」と設定した.
【結果】
PubMed, CiNii Researchより計19件の文献を採用した.Nurse Practitionerによる安全性を備えた質の高いケアの提供が効果的である一方,看護以外の分野における研究を継続して行っていく等が課題であることも分かった.
【考察】
米国には,Nurse Practitionerが診断や処方に関する保険請求を公的に認められるまで,各機関へのロビー活動,研究活動等を30年以上継続した経緯があり,日本も米国の取組を参考にする有用性があると考える.
【結論】
活動実績の蓄積に係る研究活動やロビー活動等を,今後も継続していく必要がある.
Key Words:診療看護師(NP),国際比較

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論文タイトル

医師と協働したことで早期介入に繋がった Ramsay Hunt症候群の1例 ―医師との協働による診療看護師(NP)の看護実践― A case of Ramsay Hunt syndrome in which collaboration with a physician led to early intervention -Nursing Practice of Nurse Practitioner in Collaboration with Physicians- 服部貴夫・則竹伸保

内容

【緒言】
我が国には,米国のNurse Practitionerをモデルとした診療看護師(NP)が入院中のケアおよび治療管理を医師と協働実践している.今回,入院中に新規に出現した症状に対し,医師に先行して診療看護師(NP)が介入したことでタイムリーな対応に繋がった1例を経験したため報告する.
【症例】
70歳代,男性.食思不振と歩行困難を主訴に原因不明のめまい症として入院となった.糖尿病の併存もあることから,内科症例として内分泌内科にコンサルトされた外来中の医師に先行する形で診療看護師(NP)が介入を開始した.身体診察では,右眼開眼困難,右前額部皺寄せ困難,右眉毛挙上困難,鼻唇溝浅薄化といった新規症状が出現し,迅速な対応を要すると判断し,外来の合間に上級医へ新規症状の報告と耳鼻咽喉科コンサルトを提案し,不完全型Hunt症候群の診断が下された.治療と並行し,理学療法士とリハビリ介入を継続したが,自宅退院できるまでの回復までに時間を要すると考えられ,第31病日にリハビリ病院転院となった.
【結語】
医師と協働介入を行う中で,新規に出現した症状よりHunt症候群を考え,医師に先行して診療看護師(NP)が介入したことでタイムリーな対応に繋がった1例を経験した.
Key Words:Ramsay Hunt症候群,診療看護師(NP),多職種協働

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論文タイトル

病院から在宅に移行する医療的ケア児へ 訪問看護師が行う看護実践 -小児の診療看護師(NP)の特性を 生かした今後の活動の可能性- Nursing practice of visiting nurses for children requiring constant medical care when transitioning from hospital-based care to home-based care: A possibility of activities of future utilizing the characteristics of pediatric nurse practitioners 網田真利子・草野淳子・井原健二

内容

【目的】
本研究の目的は、病院から在宅へ移行する医療的ケア児の時期に焦点をあてた訪問看護師の実践を明らかにすることである。また、明らかとなった看護実践から、在宅領域における小児の診療看護師(NP)の特性を生かした今後の活動の可能性を検討する。
【方法】
訪問看護師7名を対象とした。1人1回の半構造化面接を実施した。データは大カテゴリー・カテゴリー・サブカテゴリーに分類した。
【結果】
【患児が入院中の支援】の大カテゴリーでは〈家族の不安軽減と信頼関係の構築〉〈退院前カンファレンスへの参加〉のカテゴリー,【患児が在宅へ移行して初期の支援】の大カテゴリーでは〈患児の症状アセスメントと判断〉〈患児の体調管理をする〉〈家族の不安を軽減する〉〈家族へケアの指導を行う〉〈多職種との連携をする〉のカテゴリーであった。【家族のケアが自立した後訪問看護師が行う支援】の大カテゴリーでは,〈家族中心のケアに対応する〉〈家族の介護負担を軽減する〉であった。
【結論】
在宅移行初期は、環境の変化により児の状態が安定しないため、小児の診療看護師(NP)は医療的ケア児の身体状況について状態把握することが期待されている。在宅移行後期には,小児NPは母親の気づきを受けとめ,緊急時には訪問し小児の診療看護師(NP)の視点で医療的ケア児の状態を判断する必要がある.
Key Words:医療的ケア児,訪問看護師,看護実践,小児診療看護師

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