TOP日本NP学会誌日本NP学会誌 Vol.3 No.1(2019年5月)

日本NP学会誌ISSN 2432-0218

日本NP学会誌 Vol.3 No.1(2019年5月)

論文タイトル

診療看護師が抱いていた職務上の困難とその対応Difficulties encountered by nurse practitioners in practice and measures taken石川倫子・小村三千代・岩本郁子・児玉菜桜

内容

【目的】 診療看護師が職務上、どのような困難を抱き,どのように対応したのかを縦断的に明らかにする. 【方法】 大学院修士課程を修了した1年目の診療看護師20名を対象とし,無記名の自記式質問紙法による郵送調査を 行い,その後にフォーカス・グループインタビュー(Focus Group Interviews,以下FGI)による調査を行っ た.この2つの調査を就職4ヶ月目(7月),7ヶ月目(10月),11ヶ月目(2月)の3時点で実施した.分析はイ ンタビューの逐語録と質問紙の記述内容を質的帰納的に分析した. 【結果】 質問紙の回収率は4ヶ月19名(95.0%),7・11ヶ月各15名(75.0%)で,FGIへの参加者数は4ヶ月19名, 7ヶ月16名,11ヶ月17名であった.診療看護師が抱いていた困難とその対応は【医学的知識の不足】と【学び 方の獲得】,【診療看護師のアイディンティティにおける揺らぎ】と【役割の創造と確信】,【疲労の蓄積】と【仕 事と疲労の折り合いをつけた時間管理】,【診療看護師への低い認知度】と【アピール方法の開拓】であった. 【結論】 診療看護師に必要な支援は,①卒後研修内容の充実,②自施設の役割の明確化,③労働環境の整備,④診療看 護師の役割と活動をアピールする場を提供するであると考える. Key Words: 診療看護師,困難とその対応,大学院修士課程,診療看護師1年目

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論文タイトル

NPハワイ研修で学んだこと・考えたことConsidered through the Visit Related to Nurse Practitioner in Hawaii佐藤幸子

内容

Ⅰ.はじめに わが国におけるNurse Practitioner(以下NP)教育は,2008年に大分県立看護科学大学において開始され, 現在は10の大学院でNP教育が行われている.NPは,「日常的な臨床検査も実施しながら患者さんの状態を包 括的にアセスメントし,必要な患者さんに対しては,薬物の処方もできる看護職」と定義されている1).総合病 院の外来,訪問看護ステーション,介護老人保健施設,介護老人福祉施設等で,個々の患者さんに対して,包括 的健康アセスメント(血液検査,心電図等の日常的な臨床検査も実施しながら,その結果を判断すること)を実 施し,必要な場合には,医療処置管理(すでに処方されている一定の範囲内の薬物をNPの判断で継続して処方 すること等)もできる.すなわち,ケアとキュアを同時に提供できる能力を備えた看護職と考えられている1). アメリカにおいてはすでに1965年に教育が開始され,現在では社会的にも高く評価され,活発な活動を続けて いる. わが国は少子高齢化が進み,医師の不足や偏在化が今後さらに加速することが予想され,その中でNPのよう な働きをする職種が効果的な役割を果たすと期待されている. 日本において修士課程でのNP教育を行う大学院がなかなか増加しない中で,なぜアメリカではNPが発展を 続けているのか,どのような働きが社会に受け入れられているのか,アメリカのNPの課題は何なのかを知るこ とは,今後の日本におけるNP教育を行う上で重要であると考え,今回の研修に参加した. また,一方でわが国においては,ミニドクターになるのではないか,医療上の責任は取れるのか等,アメリカ のようなNPが導入されることに対して不安視する意見も聞かれる.その不安に対しても教育を担っている者と して説明できるようにする責任があると認識している. 今回,短期間ではあったが,NPが実際に活動している病院やクリニックを視察し,様々な刺激を受け,考え ることも多かった.その研修内容と,学んだこと考えたことについて紹介する.

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論文タイトル

日本NP学会の名称について井手上龍児・青柳智和

内容

日本NP学会の前理事長である,草間氏は「診療看護師(NP)」の名称に至った経緯の中で、診療看護師 (NP)の歴史を踏まえ,その名称に至った経緯を詳細に記載しており,診療看護師(NP)の名称は非常に十 全な理由であるととらえることができる1).現時点では,本邦における診療看護師(NP)は,国家資格ではない ものの,診療報酬の獲得や国家資格化へのステップとして,着実に進歩している.本邦の各施設で,日本型 Nurse practitionerとして勤務している者の多くは,「診療看護師(NP)」の名称が一般化しているものと推 測される.しかし,本邦における,日本NP教育大学院協議会のNP資格認定試験を合格したものが,診療看護 師(NP)として勤務するにあたり,各所属施設での名称における疫学データは,筆者の知る限りではない.例 えば,国立病院機構ではJNP(Japanese nurse practitioner)と呼称されている.藤田医科大学では,FNP (Fujita nurse practitioner)と呼称されているようである2).他にもインターネットで公表しているだけでも, 各施設に応じた独自の名称を用いていることがわかる.各施設で,診療看護師(NP)の呼称が多少異なる事に ついては,国家資格化されていない事も理由の一つにあるものと推測される.

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